会社のメールが届かない・送れない|原因の切り分け方と復旧までの流れ・費用の目安
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「お客様からメールが来ていないと電話で言われた」「送ったはずの見積もりが相手に届いていない」——メールの不具合は、ホームページの表示崩れと違って誰も気づかないまま進むのがやっかいなところです。画面はいつもどおりで、受信箱も静かなので、止まっていること自体が見えません。
そして、この相談でいちばん多いのは「原因を決めつけたまま作業を始めてしまい、直らない場所に時間とお金を使ってしまった」というケースです。メールのトラブルは、原因になりうる場所がパソコンからサーバー、ドメイン、相手側の受信設定まで広く散らばっているため、どこの話なのかを先に分けることが、そのまま近道になります。
このページでは、事業者の方がご自身で確認できるところまでを手順にして、どこから先が専門業者の作業になるのか、その場合の費用の目安までをまとめます。
なお、ホームページのお問い合わせフォームからの通知が届かない場合は、原因の出る場所が違うのでそちらをご覧ください。このページで扱うのは、社員の方が普段使っている会社のメールアドレスそのものの話です。
まず確認する3点
詳しい調査に入る前に、この3つだけ先に押さえてください。ここが決まると、見る場所がかなり絞られます。
- 受信の話か、送信の話か。 「こちらに届かない」のか「こちらが送ったものが相手に届かない」のかで、先に調べる順番が変わります。送受信の両方ができない場合は、別の端末やブラウザのWebメール、別の回線でも同じことが起きるかを見て、全体で止まっているのか、その端末だけの話なのかを先に分けてください。
- 自分だけか、社内の全員か。 1人だけであれば、その端末固有の問題か、そのメールアドレス1つの問題かを分けます。全員であれば、共通して使っている回線、サーバー、契約、ドメインの側を見ます。
- いつからか。 「今日から」なのか「言われてみればしばらく前から」なのかで、疑う相手が変わります。特定の日を境にしている場合、その前後に何かの契約更新、サーバーの変更、パソコンの入れ替えがなかったかを思い出してください。
この3点は、業者に相談するときにそのまま伝えていただきたい内容でもあります。ここが分かっているだけで、調査にかかる時間が変わります。
「メールが届かない」は3つに分かれる
ご相談の内容をならしていくと、おおむね次の3つのどれかに落ち着きます。それぞれ、直す相手も費用の考え方も違います。
③はホームページの表示にも同時に出ることが多いので、ホームページが表示されない状態と重なっているようであれば、そちらを先に確認したほうが早いことがあります。
①受信できない場合によくある原因
メールボックスの容量がいっぱいになっている
レンタルサーバーのメールには容量の上限があり、契約全体でひとまとめの場合と、メールアドレスごとに決まっている場合があります(どちらかはサービスによって違います)。上限に達すると、それ以降のメールを受け取れなくなることがあります。長年POPで受信していて、サーバーにコピーを残す設定のまま使い続けている場合に起きやすい状態です。
このとき、相手には「容量が超過している」といった内容の英語のエラーメールが返っていることがあります。相手には何かが返っているのに、こちらには何も届かないため、こちら側からは静かに見えるのが特徴です。実際にそのエラーメールを読み解いた例は急にメールが届かなくなったときの実例にまとめています。対処の具体的な操作はメールボックスの容量不足の対処法をご覧ください。
迷惑メールフォルダや自動振り分けに入っている
受信自体はできていて、目に入る場所に置かれていないだけ、という場合があります。メールソフト側の迷惑メール判定、サーバー側の迷惑メールフィルタ、過去に自分で作った振り分けルールと、判定する場所が複数あるため、片方だけを見て「入っていない」と判断すると見落とします。
特定の取引先からのメールだけが来ない場合は、ここを確認する価値があります。ドメインごと拒否リストに入っていないか、過去に「迷惑メールとして報告」を押していないかも合わせて見てください。同時に、相手側にエラーメールが戻っていないかも確認してもらってください。 相手の送信側で止まっている場合は、こちらをいくら探しても見つかりません。
別のパソコンやスマホが先に受信している
受信方式がPOPの場合、設定によっては受信した端末がサーバーからメールを削除します。事務所のパソコンと自宅のパソコン、スマートフォンの3か所で同じアドレスを見ている状態で、どれか1台が「サーバーに残さない」設定になっていると、その端末が先に受け取ったメールは他の端末に出てきません。
「自分のパソコンにだけ来ない」「スマホには来ているのにパソコンに来ない」というご相談は、この形であることが少なくありません。複数の端末で同じメールを見たい場合の考え方はPOPとIMAPの違いで説明しています。
転送設定やエイリアスが切れている
「info宛に来たメールを個人アドレスへ転送する」といった設定を過去に入れている場合、転送先のアドレスが使えなくなっていたり、転送先の側で迷惑メール扱いになっていたりすると、届かなくなります。担当者が替わったあとに転送先が古いままになっていた、というのはよくある形です。
設定した本人がもう社内にいない場合は、担当者が退職して更新できなくなったときの引き継ぎの手順もあわせてご覧ください。管理画面に入るためのアカウント自体が分からない状態だと、確認そのものが進まなくなります。
メールソフト側の事情
パソコンの入れ替え、メールソフトの入れ替え、アプリの提供終了などに合わせて設定が引き継がれず、受信できなくなっていることがあります。Windowsの標準メールアプリが終了したときの移行先のように、こちらの操作なしで環境が変わる場合もあります。
1人だけに起きていて、他の端末では同じアドレスが受信できているのであれば、サーバーではなくこの範囲を先に疑ってください。
②送れない・相手に届かない場合
ここは2つに分かれます。混ざったまま調べると遠回りになるので、先に分けてください。
- 送信操作そのものが失敗する。 送信ボタンを押したときにエラーが出る、送信トレイに残ったままになる、という状態です。
- 送信済みになっているのに、相手が受け取っていない。 こちらの画面上は成功しています。エラーで戻ってくれば気づけますが、相手の迷惑メールフォルダに静かに入っているだけの場合は何も戻ってきません。「返事がない」と思っていた案件が、実は届いていなかったということが起こります。
送信操作そのものが失敗する場合
まず、画面に出ているエラーの文言をそのまま控えてください。原因を指していることが多く、そのまま相談の材料になります。
次に、ブラウザで開くWebメールからも送れないかを試してください。 Webメールから送れるのであれば、メールソフトの設定、パソコンに入っているセキュリティソフト、使っている回線など、Webメールとは経路が違う部分を先に見ることになります。Webメールからも送れない場合は、宛先を変えても同じかを確かめたうえで、アカウントの状態やサーバー側を調べます。
メールソフト側で見るのは、送信時の認証、送信ポート、暗号化の方式といった設定が現在の仕様に合っているかどうかです。長く使っている設定ほど、途中でサーバー側の仕様が変わっていることがあります。あわせて、契約しているサーバー会社が障害情報を出していないか、一度に送れる通数の制限に当たっていないかも見てください。
この機会にご確認いただきたいのが、暗号化されていない通信のままメールを送受信していないか、という点です。考え方は平文のリスクと暗号化にまとめています。
送信済みなのに相手に届かない場合:ドメインの認証設定
受信する側のメールサービスは、送られてきたメールがそのドメインから送ってよい人が送ったものかを確認しています。この確認に使われるのが、ドメインのDNSに書いておく3つの設定です。
- SPF……そのドメインのメールを送ってよいサーバーを一覧で示すものです。設定の方法はSPFレコードの設定方法で説明しています。
- DKIM……送信時に電子署名を付け、途中で差し替えられていないことを示すものです。設定漏れで実際に届かなくなった例をDKIMの設定漏れでメールが届かないにまとめています。
- DMARC……SPFとDKIMの結果をふまえて、条件に合わないメールをどう扱ってほしいかを送信側から宣言するものです。仕組みはDMARCの仕組みと活用方法をご覧ください。
Googleは2024年2月から、個人用のGmailアドレス(@gmail.com など)宛に送るすべての送信者に対して、SPFまたはDKIMのどちらかを設定するよう求めています。個人用のGmailアドレス宛に1日およそ5,000通以上を送る送信者には、SPFとDKIMの両方、DMARCなど、さらに複数の要件があります。また、宣伝のためのメールや、購読を受け付けて送るメールには、ワンクリックで配信を停止できる仕組みも求められます(2026年8月時点)。一斉配信をしていない会社であっても、SPFまたはDKIMのほうは関わってきます。
ただし、これらを設定すれば必ず受信箱に入るわけではありません。受信側は本文の内容、過去のやり取り、送信元の評価など複数の材料で判断しており、認証設定はそのうちの一つです。「設定したから届くようになる」ではなく「設定がないと不利になりやすい」と捉えてください。
送信元のIPアドレスの評価が下がっている
迷惑メールの送信元をまとめたブラックリストがいくつも運用されていて、そこに載っているIPアドレスからのメールは受け取りを拒否されたり、迷惑メール側に振られたりすることがあります。
ここで気をつけたいのは、複数の利用者が同じ送信用のIPアドレスを共有しているサービスでは、他の利用者の送信が評価に影響する場合があるという点です。自社に落ち度がなくても影響を受けることがあります。
ただし、だからといってサーバーを移せば解決するとは限りません。メールを外部のサービスから送っている場合はサーバーを移しても送信に使われるIPアドレスが変わりませんし、移した先も同じように共有されていることがあります。そもそもIPアドレス以外が原因のこともあります。返送されたエラーメールがあればその文面を控えたうえで、実際にメールの送信に使っているサービスがどれなのかを先に確かめ、その提供会社に問い合わせてください。 レンタルサーバーのメール機能から送っているならサーバー会社が窓口ですが、Google WorkspaceやMicrosoft 365、外部の配信サービスから送っている場合は、そちらに聞かないと送信元のIPアドレスも解除の手続きも分かりません。掲載理由と解除の考え方はブラックリストに載る原因と避ける方法に、共用と専用の違いは共用サーバーのリスクと専用サーバーの選択肢にまとめています。
あわせて、自社ドメインを名乗ったなりすましメールへの備えも、認証設定と地続きの話になります。
フォームからの自動返信だけが届かない場合
「手で書いたメールは届くのに、ホームページのフォームからの自動返信だけが相手に届かない」という場合は、送信元の名乗り方が原因になっていることがあります。この形はメールフォームの返信がGmailに届かない理由で扱っています。フォーム自体の通知が来ない場合は冒頭でご案内したページを、営業メールばかり届いて本物が埋もれている場合はフォームへのスパム対策をご覧ください。
③会社全体で止まっている場合
ドメインやサーバーの期限が切れている
ドメインの有効期限が切れると、そのドメインを使ったメールもホームページも使えなくなるおそれがあります。いつ止まるか、どこまで戻せるかは、ドメインの種類と契約している会社によって違いますので、気づいた時点で契約先に確認してください。復旧できる期限の考え方はドメイン・サーバーの更新を忘れるとどうなるかにまとめています。
もう一つ見落としやすいのが、ドメインの登録情報に書かれている連絡先メールアドレスです。ここが使えないアドレスのままだと、更新の案内も、確認を求めるメールも届きません。確認を求めるメールに一定期間応答しないと、ドメインの利用が止められることがあります。この仕組みはWhois情報の更新による制限解除で説明しています。
そもそも自社のドメインが誰の名義で、どこの会社で管理されているか分からないという場合は、ドメインが制作会社名義になっている場合の確認方法から進めてください。独自ドメインを持つ意味もあわせてご覧いただくと、どこを自社で押さえておくべきかが整理できます。
サーバーやネームサーバーを変えた直後
サーバーの引っ越しやネームサーバーの変更を行うと、切り替えが行き渡るまでのあいだ、人によって新旧どちらを見ているかが分かれる時間帯が生じます。この時間帯は、送ったメールが旧サーバー側に届いてしまい、新しいサーバーの受信箱には出てこない、ということが起こります。
関連する内容として、ネームサーバーの仕組み、切り替えの浸透状況を確認する方法、ネームサーバーの向け先を変更する手順、ドメインを変えずにサーバーだけ変える方法があります。
これから引っ越しを予定されている場合は、サーバー移転の進め方とメールの注意点を先にお読みください。ホームページの移転はうまくいったのにメールだけ止まった、という事故は、メールの移行を後回しにしたときに起きます。
サイト側の不具合がメールを巻き込んでいる
ホームページとメールを同じサーバーで動かしている場合、サイト側で起きたことがメールに影響することがあります。たとえばWordPressのバックアップが大きくなりすぎてサーバーの容量を圧迫し、メールの受信が止まった例があります。
また、サイトが改ざん・乗っ取りにあった場合は、そのサーバーから大量の迷惑メールが送られてIPアドレスの評価が落ちることがあります。心当たりがある場合は、メールの設定を触る前にそちらの確認を優先してください。あわせてパスワードの管理も見直しどきです。
自分でできる確認の手順
業者に相談する前に、ここまでは進めていただけます。順番に意味があるので、上から行ってください。
- 別のアドレスから自社宛にテスト送信する。 スマートフォンの個人アドレスなど、社外のアドレスから送ってみます。できれば違う会社のサービス(携帯のアドレスとフリーメールなど)から2通試してください。届いた場合に分かるのは「その送信元からその宛先には届く」ということまでで、すべての相手からの受信が正常だとは言い切れません。届かなければ、送った側にエラーが返っていないかを確認してください。エラーの文面は、そのまま原因の手がかりになります。
- 自社から社外のアドレスへ送ってみる。 相手の受信箱に入るか、迷惑メールフォルダに入るか、まったく届かないかを見ます。フリーメール宛に加えて、事情を伝えて協力してもらえる社外の会社アドレスがあれば、そちらでも試すと切り分けが進みます。取引先へ黙ってテストメールを送るのは避けてください。
- 迷惑メールフォルダと振り分けルールを見る。 メールソフト側とサーバーの管理画面側の両方を確認します。片方だけでは判断できません。
- 同じアドレスを見ている端末をすべて数え上げる。 事務所のパソコン、自宅、スマートフォン、タブレットのどれで受信しているかを書き出します。心当たりのない端末が残っていることがあります。
- メールの使用量を確認する。 サーバーの管理画面で、メールアドレスごと、または契約全体の使用量を確認します。どちらの単位で出るか、そもそも表示されるかはサービスによって違います。 上限に近ければ、そこが原因である可能性が出てきます。
- いつから起きているかを、範囲で押さえる。 受信箱を日付順に並べ、最後に受信を確認できた日と、最初に「来ていない」と分かった日を控えます。メールが来ない日はもともとありうるので、1日に特定できなくてかまいません。その範囲の前後に何をしたかを思い出してください。
ここまでで原因が分からない場合は、エラーメールの文面、Webメールでも同じことが起きるか、サーバー会社が障害情報を出していないか、相手側で止められていないか、を順に確認します。その結果を見てから、端末・サーバー・DNSのどこを調べるかを決めます。 DNSやサーバーの設定は、1か所間違えると届いていた分まで止まる範囲ですので、ご自身で触ることに不安があれば、この段階でご相談ください。
やらないほうがよいこと
- 原因が分からないまま、メールソフトのアカウントを削除して作り直す。 POPで受信していた場合、パソコンの中にしか残っていないメールが消えることがあります。作り直す前に、必ずデータの控えを取ってください。
- 迷惑メールフォルダを見る前に空にする。 探していたメールごと消えます。
- ネットで見つけたDNSの設定例を、そのまま自社のドメインに貼り付ける。 SPFなどの記述は、実際に使っているサーバーやメールサービスによって内容が変わります。合っていない記述を入れると、これまで届いていたメールが届かなくなることがあります。
- 短時間に何度も同じ内容を送り直す。 相手に重複して届いたり、送信数の制限に当たったりすることがあります。届いていないと分かった時点で、電話など別の手段に切り替えてください。
- 期限切れかもしれない状態で、そのまま数日待つ。 ドメインやサーバーの期限が絡んでいる場合、時間が経つほど手続きが増えることがあります。
直すときの流れと費用の目安
実際の作業は、原因がどこにあったかで内容が変わります。当社の料金表にある項目のうち、この種類のご相談で使うことが多いものを挙げます。いずれも税込です。
ただし、「メールが届かない原因を調べる作業そのもの」に該当する単独の項目は、当社の料金表にはありません。 DNSにSPFなどのレコードを追加・修正する作業も同じで、単独の項目としては載せていません。料金表に無いものは別途お見積もりという扱いになります。
ですので、この種類のご相談に対して最初から金額を1つに決めてお伝えすることはできません。先に状況をうかがい、どこまでを調べるかを決めてから、お見積もりをお出しする形になります。調べた結果として上の表のどれかの作業に落ち着くこともあれば、そうでないこともあります。
同じことを繰り返さないために
メールの不具合は、直すことよりも次に起きたときに早く気づける形にしておくことのほうが効きます。ホームページと違って、止まっていても画面には出ないためです。
期限やサーバーの管理をまとめて任せたい場合は、料金表のドメイン・サーバー管理(年間11,000円・gTLDが対象)があります。ホームページ全体の維持管理を含めた形をお考えでしたら、保守・管理契約で何をしているかをご覧ください。現状がどうなっているか分からない状態から始める場合は、ホームページの健康診断で全体を見る方法もあります。
制作を頼んだ会社と連絡が取れず、サーバーの管理画面にも入れないという状態であれば、制作会社と連絡が取れないときの引き継ぎの手順と、放置状態のホームページを立て直す手順が出発点になります。どこに頼めばよいか自体で迷われている場合は、修正の依頼先の選び方もあわせてどうぞ。
まとめ
メールが届かないというご相談は、原因になりうる場所が広いぶん、決めつけて動くと遠回りになります。まず「受信か送信か」「自分だけか全員か」「いつからか」の3点を押さえ、①受信側で消えている、②送信操作が失敗している、または送信済みでも相手に届いていない、③まとめて止まっている、のどれなのかを分けてください。そこまで決まれば、あとは見る場所が限られます。
ご自身で進められるのは、テスト送信、迷惑メールフォルダと振り分けの確認、受信している端末の数え上げ、容量の確認、いつからかの特定までです。そこから先のDNSやサーバーの設定は、間違えると届いていた分まで止まる範囲ですので、無理に触らないほうが結果的に早く終わります。
止まっている期間が長いほど、失注や信用の面で影響が出ます。切り分けの途中で判断がつかなくなった時点でご相談いただければ、そこから先を引き取ります。ご依頼前のご相談・お見積もりは無料ですので、お問い合わせから、いつから・誰に・受信と送信のどちらで起きているかだけ添えてお知らせください。
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