つまりは自分を。

限界ギリギリのスピードで左コーナーに突っ込む。
路面とタイヤ、グリップ限界の超えたところ、リヤがスライドをはじめる。
それでも、右手のアクセルを開け続ける。
左の膝パットが路面に擦れる。
右肘でしっかりとタンクをホールド。
視線は、コーナーの出口を見据えたまま。
怯えて、右手のアクセルを戻してしまえば、
タイヤが急激にグリップを取り戻し、
そいつは突然、暴れ馬に変貌し、路面に叩きつけられる。
恐怖のあまり、
視線を路肩に向ければ、
ブラックホールに吸い込まれるように、ガードレールに張り付く。
何度も、スローモーションで、
アスファルトの模様と、空と、緑と息遣いと、
スピードを味わいつくした。
ギリギリのバランス。
一歩間違えば、確実に死はそこにある。
ひたすら、何かを追いかけていた日々。
生きているのが不思議なくらいに。
ある日を境に・・・、
ボクは単車を降りた。
けれど。
あのリスクはいまだに、体から離れない。
あの頃、
一歩間違えば、
死ぬかもしれない、
それでも、信じていた事。
コーナーを立ち上がって、
次のコーナーに切り込んでいく自分の姿。
つまりは、自分を信頼すること。
そうだよな、・・・。
な。

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